おかげさまで先月の木削り体験会では、モミジの枝を楽しく削っていただいて、可愛いバターナイフが6本誕生しました。お誕生日おめでとうの気持ちです。ご参加くださった方々、どうもありがとうございました^_^




この日は、スウェーデンのヴィッレ・スンクヴィストさんが記録化したり考案したりして伝えてくださった、スロイドナイフ(木削り用ナイフ)のナイフグリップ十数種類のうち、3種類を使って削りました。
体験会を経て、その後の6回シリーズの木削り講座にお申込みくださった方々とは、これから少しずつ新しいナイフグリップを学びつつ、いろんなメニューをつくっていく予定です。
ナイフグリップは、木削りのボキャブラリーのようなもの。たくさん身に付けると、かゆいところに手が届いて便利です。
もちろん全部を身に付けなくてもいいんですが、最低限、数種類は必要になります。(同じグリップばかりを使っていると、同じ筋肉にばかり負荷がかかってしまうので、いろんなバリエーションで身体とナイフを使えると、身体を傷めずに木削りを愉しむのにも役立ちます。)
ひととおり体験してみて、自分はこれが好き、これがしっくりくる、というものを数種類選んで使っていただければと思っています。
■ナイフグリップの1つ、「膝削り」について
体験会で使ったナイフグリップの1つが「膝削り」でした。

ナイフの峰(刃の背中側)を、膝のお皿の下の窪みに当てて固定しておいて、そこに削りたい材を当て、材を引っ張って削ります。
比較的力を使わずに、するりするりと滑らかに削ることができて便利で、削り上がった面も滑らかなので、自分のお気に入りナイフグリップの1つです。
後日、探し物をしていたら、本棚の『北欧 木の家具と建築の知恵』(長谷川清之さん著)に目が留まり、なんとなくパラパラと見返していたら、、、膝削りと同じ原理での削りを、日常的に行うための家具が、北欧の古民家にあったことを知りました。



△『北欧 木の家具と建築の知恵』(長谷川清之さん著)に掲載の写真を参考に、絵に描いてみました。
「膝削り」で膝頭が担っている役割を、この家具では先端の円柱が担います。
注目すべきは、先端の円柱の手前の穴に挿してある、この家具専用の長いナイフ。その刃はカーブを描いています。
刃を円柱の向こう側に当てたとき、円柱の左側に飛び出るナイフの刃が、手前にカーブしてくることなります。なので、材を刃の部分に当てて引いてくるとき、まっすぐ引いてくるだけで、刃は材に「斜め」にあたることになって、「スライス切り」が実現するのです^_^
斜めの「スライス切り」は、刃と材を十文字に(直角に)交差させて削るのに比べて、力が要りません。
この家具は、長谷川さんがフィールドワーク中にノルウェーの古民家で見つけて、現地の女性に使い方を実演してもらったそうでした。家の中の「炉」のすぐ横に置かれていて、火を起こすときの「焚き付け」をさっとつくれるようになっていたそうです。女性でも少ない力で簡単に焚き付けをつくれたのですね。
著者の長谷川さんのフィールドワークの丹念さも尊敬しますが、昔ながらの北欧の知恵にもぐっときます。
「膝削り」のナイフグリップが先だったのか、こういう家具が先だったのかはわかりませんが、両者は確実に同じ発想から来ています。
木を削ることが日常だったからこそ、ただ力まかせに削るのとは違う、少ない力で効率よく削る工夫がされてきたんだろうな、と思いました。





