ここ2回の木削りセッションは、お庭の剪定木からのスプンづくりを伴走させていただきました。
株立ちして結構な太さになっていたキンモクセイを、少し整理したとのことで(じゅ)さんがお持ちくださったのは、実は1年半前。そのとき一緒に木を割って、斧でスプンの粗い形に成形するまでをしたのですが、その後コロナの移動制限で県外に出にくくなった関係で、わが家の冷凍庫でずっと保管させていただいていました。
先日晴れて続きのナイフワークをしにいらっしゃって、すらりとしたスプンの形になりました。
その後、おうちでの乾燥を経て、仕上げ削り。繊細な植物画を描かれる(じゅ)さんらしく、スプン首元の段差や柄表の繊細なラインも美しく削り上げていらっしゃって、いやーなんとも驚かされました。
「(子どもの頃に植えられて)一緒に大きくなったんです」というそのキンモクセイが、スプンという形で暮らしの一部になることを喜んでくださって、私も嬉しかった!
にょきにょき育って駐車スペースに張り出した、お庭のカシ(アラカシかウラジロガシかな?)の剪定木を抱えてやってきてくださったのは、かご編み作家さんの(ゆ)さん。カシも重たい木なのですが、手提げ袋に入れて電車でやってきてくださり、心意気が沁みました。
カシは硬い、というイメージだったので覚悟して臨みましたが、つい数週間前に伐ったばかりのカシはみずみずしくて、予想に反してとても気持ちのいい削り心地。樹皮つきのまま斧で割る→斧での成形→ナイフでの成形までを1日でなさって、その集中力もさすがでしたが、形になったスプンがとてもかわいかった!私には思いつかないデザインディテール。すてきでした。コーヒースクープになるようです。
ちなみにデザインはいつもご本人が自由に決めておられます(スプンの用途・木の強度の面からお勧めのデザイン要素はお伝えしますし、参考用サンプルはいくつかご用意していますが)。わたしも、そのときの木や自分の気分に応じてその場でデザインを決めて伴走しますが、かなりデザインの違うスプンで伴走していたりします(工程はだいたい一緒なので…)。
剪定木を持ち込んでいただくセッションは、当日までどんな性格・状態の木がやってくるかわからなくて、どきどきします。自分はただでさえ緊張しいなので、なかなかにチャレンジで、成果物ができあがらなかったらどうしよう、という不安はいつもあるのですけど、でも引き続き、身近な木々とのつながりと木削りの体感やプロセスを愉しんでいただくことを第一に、続けていきたい気持ちです。
今回も、これまでも、スプンづくりのときもそうでないときも、一緒にチャレンジくださった皆さま、そして木々の皆さまに、改めて感謝です🥰
※オピネルなどの折りたたみ式ナイフやウッドカービング用でないナイフは、繊細な仕上げ削りには向きますが、たくさん削り落としながら成形する粗削り段階は、安全面と削りやすさ、削り上がりの美しさの面からも、Moraの106 (or 106カーボン)など、ウッドカービング専用ナイフをお勧めします。
表紙フォト by Junko Shimamura