何かを新しく身に付けるとき、人によって学習しやすいチャンネルは異なるそうですね。「見る」のがわかりやすい人(視覚チャンネル優位)、「(言葉や音を)聞く」のがわかりやすい人(聴覚チャンネル優位)、「動いて体感する」のがわかりやすい人(身体感覚・運動感覚優位)など。

今日は「見る」のがわかりやすい人向けになりますが、フィンランドの昔の手仕事動画(無声映画)「Puukolla Ja Kirveella(ナイフと斧で)」をご紹介します。

Sakari Pälsiさんが1938年のクリスマスに撮影したドキュメント作品。

冒頭2:00~7:00あたりまでは、ブランコづくり。太いつる植物で縄をなうようにしてブランコの紐部分をつくっていきます(興味深いです)。

そのあとなぞの生活道具が2つ紹介されたあと、10:29からは丸太からの「Nuija(木槌)」づくり。インタビュー(聞き書き)風景をはさんで、12:47から斧の柄づくりが始まります。このあたりが、斧さばき、ナイフさばきの見どころです。

まずは斧で粗く成形していくときの、斧の重みに仕事をしてもらっている様子を見てほしいです。いい感じに脱力していて、筋力でがんばっていないのがわかります。

やさしく少しはつって、くるんとなった削りくずをくっつけた状態のまま裏返して、逆方向からまたやさしくはつって、くるんとなったところで出会わせていく様子も映っています。

そしてナイフに持ち替えてからの、身のこなし。体に材をあてて安定させ、手前に削ってくるグリップのときの、左手の動きと、長いストロークで削ってくる様子が、すばらしいので見てください(14:11~14:50までくらいと、14:56~15:26くらい、17:15~17:30くらい)。

Puukolla Ja Kirveella, Finnish crafts.

Historical Finnish movie, showing different crafts and skills.

このあとは、クリスマス用の小箱づくりを経て、「puukopäreet」というセクション(22:17~)で、まず木割り用の矢を削り、それを使って丸太を割っていきます。どんどん細かく割っていっては、ナイフで薄くへぎ……。へぎ板を少しずつずらして固定していくのですが、これは何に使うものなのか謎です…(でも木割りの工程はとても参考になる!)。

27:13からは「Plotkapyssy」、おもちゃの鉄砲づくり。モミの木からつくっていくのですが、若いモミの木の幹を筒状にする特殊なやり方が興味深いです。本体はナイフで削っていきます。

30:40からは「Makkaratikku」。直訳すると「ソーセージ串」ですが、編み物用の棒針のことらしいです。胴体に材を当てて支えつつ、ナイフで細やかに木割りしていくところから始まります(身のこなしが勉強になります)。

細長くしたら先端をとがらせ、ナイフを膝上で固定して材をひっぱってくる方式で、ロングストロークでなめらかに削り上げます。(途中革砥のようなもので刃物を研ぐシーンも)。

32:32からは「Kukonjalka」。ナイフ1本でフェザースティックのような?イナウのような?物体をつくっておられます。

私には用途が謎のグッズも多いのですが(汗)、おそらくフィンランドのクリスマスの風習にちなんだ何かなのかな、と思います。

どの作業も全部、シンプルな手道具でお外でサクッとやっていて、すばらしいです。

Enjoy!