先月、親戚のおうちで、6歳と7歳のちびっこと遊びましたら、独楽のコレクションをどどんと出してきてくれました。その中に、芯が蛍光ペンになっているプラスチック製独楽がありました。紙の上で回してみると、どんどん円模様が描けていく……。みんなでかわりばんこに回していったら、すてきなアート作品になった!

すっかり感心して、これ自分も欲しいなーと思い、「欲しいものはつくる」の標語を頭に浮かべつつ帰宅しました。

木で独楽をつくったことはまだなかったので、まずは参考書(Frank Egholm著『Easy Wood Carving for Children』)を開きました。

Frank Egholm著『Easy Wood Carving for Children』、楽しい本です!

この感じで、芯を色鉛筆にして、ヒノキの端材で試作してみたのがこちら。

試作1号、ヒノキ画伯。

色鉛筆は、たまたま手元にあったミニサイズのものを挿しました。

円が描けていきました!愉快です。しかし色が淡いなあ。。。淡いのは淡いので、とてもかわいいのですが。

絵を描ける独楽、試作1。ヒノキ画伯

No Description

上手に回らないときのほうが、おもしろいのが描ける。上手に回したい気持ちと、面白いのが描かれるのが見たい気持ちが、せめぎ合うー。

■より濃く描ける独楽にするには

どうしたら色が濃くできるかを考え、(1)独楽本体の体重を増やす、(2)筆圧が軽くてもサラサラ描けるタイプの色鉛筆を挿す、を試みました。

(1)重めの材で体重増量

木材の重さの指標は「比重」という単位。これが大きいほうが重たい種類の木ということです。ヒノキは0.41ほど。先日おとなりさんが剪定したモッコクの枝をもらってありました。こちらは比重0.8。

セオリー上は同じくらいの体積&含水率(乾き具合)で、モッコクは倍の重さになるはずです。

ということで、モッコクの枝の輪切りでつくった試作2がこちら。

絵を描ける独楽、試作2。モッコク画伯。

No Description

雨に当たった直後で水分をたくさん含んでいたこともあり、重さは1号のヒノキ画伯よりもだいぶありました。筆圧上がった!

同じ色鉛筆を挿して、上がヒノキ画伯、下がモッコク画伯。

(2)色鉛筆っていろいろあるんですね

筆圧が軽くても描ける色鉛筆を探して、障害があって筆圧が小さいという方が文房具を紹介しているサイトや、色鉛筆アーティストのサイトなどを拝見しました。

色鉛筆には水性と油性があり、芯の柔らかさもメーカーによっていろいろであることがわかりました。

筆圧が大きくなくてもラクに描けて(芯がやわらかで)、なおかつ発色がいい銘柄は……と調べていくと、いくつか候補が絞れてきました。ただ描き味だけはネット上ではなんともわからない……。

実際に色鉛筆を店頭で試し描きできるところがあったらなあ、と思っていたら、最寄りの駅ビルに世界堂が入っていたことを思い出しました。行ってみたら、想定していた3つほどの銘柄の色鉛筆が、まさに試し描きできる状態で陳列してあった!

(ちなみに、試作1号で挿した、家にあったミニサイズの色鉛筆は、描き味がやわらかいと評判のべロールのColourcraftでした)。

店頭で気づきました。色鉛筆というのはほぼ、六角形のタイプは水性で、丸いタイプは油性なのですね。家にあった色鉛筆は水性でしたが、油性のほうがさらにのびがいいようなので、お絵かき独楽には油性を採用することにしました。

描き心地を試した結果、高級色鉛筆となりますが(汗)、サンフォード(元べロール)のカリスマカラーをバラで2本だけ購入。

ミニサイズはなかったので、普通サイズの色鉛筆を半分にカットして使うことにしました。

筆圧(色の濃さ)にこだわらなければ、使いさしの短くなった色鉛筆はたくさんメルカリに出ているので、そういう色鉛筆を使うのもありかな、と思いつつ……。

■個体によっても、色鉛筆の挿し具合によっても、何が描けるかが変わります

ヒノキ画伯と、モッコク画伯たちの合作。

ディテールのアップ。

こんなおちゃめなラインを描くモッコク画伯もいました。

天然木の独楽だし、鋸でのカットも100%平行にいかないので、独楽の回り具合に個体差が出ます。色鉛筆をどのくらい深く挿すかによっても回転の重心が変わるので、バランスが変わる。

バランスが悪くクラクラ回るときのうほうが、おもしろい絵が描けます。ということで、あえてこんなアンバランスな個体もつくってみた。

ちゃんと回るかな?と思ったけど、回りました!

輪切りの枝に色鉛筆を挿すだけですが、いろいろに遊べてなかなか愉快なので、皆さまもぜひ。

この独楽でのお絵かき自体が「偶然の産物」を愉しむスタイルなので、独楽づくりもあまり「きちんと」しないのがおすすめです。輪切りにするときもおおらかに。穴をドリルであけるときの直角も、スコヤなんか使わず目視で。(バランスが悪くなりすぎると回らない独楽になります……そのときは「学び」を携えて次をつくりましょう)。

唯一気を付けたいのは穴のサイズです。色鉛筆のフィットはゆるすぎずきつすぎずがベストかと。自分は色鉛筆の直径より少し小さめの穴を開けて、少しずつナイフで広げて調整しました。(きつすぎないようにしておくと、色鉛筆を挿し換えて、違う色で使うこともできますね。)

生木の状態でつくって、穴のサイズをちょうどいいフィットにした場合は、乾燥すると穴が縮んだり、割れが出てくる恐れもあるのでご注意を。色鉛筆を抜いて布にくるんでゆっくり乾燥させて、乾燥後はナイフで穴を広げて微調整してあげるといいですね。