ときどき青空市で手削りアイテムを販売させていただいています。自分のもとに縁あってやってきた、事情あって伐られた木々が、形新たに誰かの暮らしに迎えてもらえることは喜びです。
青空市にそうしたアイテムを並べていると、特にカトラリなどは、一見すると普通の木工(乾いた木から、機械なども使ってつくったもの)と変らないんだろうなあと思うことがあります。
普通の木工では使われないようなさまざな樹種の木(どれも事情あって伐られたもの)から、機械類もサンドペーパーも使わずに、木を斧で割って刃物で手削りしている、ということをわかりやすく伝えるのは難しいな、と感じています。
問われるのは、どんな材料でどうつくったかよりも、出来上がり品の質や使いやすさや耐久性。それはよく承知しているつもりです……。
ただ、使いやすく丈夫なモノを提供したい、という気持ちはもちろんありつつも、木々と人をつなぎたい、木々の生きざまに感謝したい、という思いでやっているので……、ひとつひとつの木々の良さを具体的に紹介したくなってしまいますし、自分の手でコツコツと削りたくなってしまいます。
グリーンウッドワーク(生木の木工)ならではのものを、もっとつくっていくことがいいのかな、と思ったりしています。普通の乾いた木工ではつくれない、木の日用品や雑貨。
生木が乾燥する間に縮んでいく特性を使ってつくる手法の、シュリンクポット(蓋つき容器)や椅子。生木を少しだけ乾燥させてつくる(どの程度の生具合かが仕上がりを左右する)、削り花やツリーなどのデコレーションアイテム。木の芯の部分(髄)を含めて成形しても割れが起きないサイズの枝からつくる、小さな雑貨いろいろ。
これらは、普通の乾いた木工のアイテムに比べると、軽やかさやしなやかさがあるのが特徴だなあと感じています。ドシンとしていないというか。
この「ドシンとしてなさ?」は、生木で手削りするカトラリにも共通する特徴です。機械で切り抜いたりするかわりに、木の中の繊維の流れをナイフで感じて尊重しながら成形していくカトラリは、繊維に寄り添う形になりやすく、(樹種にもよりますが)ときには向こうが透けて見えるほど薄く仕上げても強度を保ちやすいのが特徴です。
それと、樹皮を残す手法でそれぞれの木の個性的な樹皮を愉しめるようにつくることができる点も、特徴でしょうか。
こうした魅力が、生木の手削りアイテムにあることを、もっと上手に伝えられるようになりたいです。
普通の乾いた木工とはまた別の、グリーンウッドワークならではの素晴らしいノウハウと技術があることも、知られてほしいなと思います(私が未熟ながらグリーンウッドワーカーとしてやっていることが、素晴らしいグリーンウッドワーカーの方々が長い年月をかけて熟成してきたノウハウや技術の軽視につながっていないことを、願うばかりです……)。