生木を手削りしてつくったものの使い心地を、毎日使って検証しています。新しい形のもの、新しい仕上げ方法のものなどを、定期的に「今しばらくはこれを検証しよう」とキッチンのカトラリー入れに入れておき、家人(や自分)が自然と手に取るものになっているか、なんども「使って洗う」を経てどう変化するか、をみるわけですが。
そうこうするうちに検証していたことを忘れて、ただの「愛用の1本」になっていったりするものがあり……昔のサイト投稿をたまたま今日目にして、「あ、これ検証中だったんだ」と思い出したのが、この1本。
現在レンゲとしてスープ麺や鍋を食べるときにいつも使ってるんですが、そもそもは、おたまのリクエストをもらったときに、おたまに向けての最初の勉強に「ミニ版おたま」としてつくったもの。
使い始めて(検証を始めて)4年4カ月が過ぎたことになります。
つくったときの記録がこちら↑で、このときは半割にしたまっすぐめのサクラの枝の「樹皮側」を「さじ面の裏側」にしてつくっています。
スプンづくりを重ねるうちに、「樹皮側」を「さじ面の表側」にするほうが、さじ面の縁周りの強度を保ちやすいと感じるようになって、そうすることが増えました。が、その逆になっているこのミニおたまの縁周りをみると、びくともしてません。
さじ面の縁の先っぽが、木の髄のそばに行き過ぎないように成形できたことと、さじ面に最低限の厚みが確保できてたことがよかったのかな、と思っています。
材は近所の川べりのサクラ(剪定枝)で、えごま油を3回(1回目のあと11日置いて2回目、翌日に3回目)。
4年4カ月のあいだ、一度もお手入れをしていなくて(少なくとも年に一度のお手入れを、と人さまには推奨しているのに、自分のところではタフな環境を強いています…)。さじ面のよくこすれるあたりが白くなってきています。
でもそれ以外は特に目立ったダメージもなく、何不自由なく日々使えていますが、そろそろお手入れしてあげよう…。
色味もすっかりいい感じ。サクラはえごま油と合わさるといい感じのブラウンになるみたい?これは今後検証したい案件です(最近くるみ油に傾倒しすぎていたので)。
■もう一本は漆仕上げの検証でした
同じ時期につくった、デザートスプン的なサイズのスプンも、日々のヘビーユースを経て4年3カ月経ちます。材はリョウブの剪定枝(曲がりのある部分)。えごま油を2回。
こちらは3年経った頃に一度”入院期間”を設け、柄の下半分に白漆を塗り、くたびれてたたさじ面を薄くひと削りしてからオイルを塗り直しました。
白漆の発色ニュアンスを考えて、まず黒漆(生漆+松煙)を塗り、その上に白漆(これは鹿田喜造漆店で最初から白の顔料が入ったものを購入)を。
白の顔料を漆に混ぜるとどうしても漆本来の茶色みと混ざってミルクティー色になります。年月とともに漆本来の色が抜けてゆき、だんだん白さが増してくるはずなんですが、漆塗りしてから1年半の今、グレーベージュみたいな感じ?です。
さじ面のいちばんこすれる縁のところは、ちょっと白くなってます。また縁の薄い部分に黒みを帯びているところがあります。
最後のお手入れから1年半たっているわけなので、そろそろお手入れしたほうがよさそうです。
■ぐりグリのアイテムを暮らしに迎えてくださっている方々へ
(そして木削りセッションでつくったものを使ってくださっている方々も)
お手元のアイテムに気になるところが出てきたら、できたら見捨てず、contactページからひとことお知らせください^_^
”入院”が可能なら、お手入れさせていただきます(その際、送料だけはご負担いただければと思います)。もしくは、ご自身でどんなお手入れをするとよさそうかをご提案します。
経年変化を楽しみながらお使いいただけると幸せです。どうぞよろしくお願いいたします^_^
#経年変化 #カトラリ―