遠方の友人のおうちのお庭から、いろんな枝を送っていただいたのです。「剪定をしたから」と段ボール箱にぼんっといろんな枝が入って届いたのが春のこと。

こんな感じでした。

枝と一緒に、お庭の花々でお母さまがつくってくださった花束や、夏みかんの皮からのピール、長いプロセスを経てできあがるゆべしなどの手づくりおやつまでも入っていて、もう嬉しすぎました。筆でサラサラと書かれたお手紙もすてきでため息が出た。

すばらしい春の花束!

そんなこんなで、いただいたこれらの枝たちから、何をつくろうー?とわくわくする日々に突入。

一番太いもので直径4cm弱。細いものは直径1.7cmくらいです。枝分かれしている部分もあれば、まっすぐな部分もあり。想像が膨らみました。

■まずは毒性をチェック

名札を付けてくださってたので、樹種は判明していました。今まで削ったことのない木々ばかりだったので、毒性や木工品への適用性をまず調べました。

ハゼやブットレアは毒性があるので、それなりの対応が必要だとわかりました。口に入れたりしない雑貨を考えていくことに。

■小さな子ども椅子がつくれたりしないかな?

この枝たちをくれた友人は去年末にはじめての赤ちゃんをお迎えしたばかり。赤ちゃんにとって祖父母にあたる方々のおうちのお庭からの剪定枝で、子ども椅子をつくれたら楽しいかも、と思い立ちました。

それなら、自宅にある子ども椅子の習作はどうだろう?

わが家にあるこの子ども椅子は、スペイン・アンダルシア州グラナダ県のグアディスというところで、生木からつくられた一脚。

グアディスには生木のポプラから椅子をつくる伝統が長くあって、かつてはたくさん工房があって、日本での民藝運動とも接点を持っていたのだそうです。

(このあたりの詳しいお話に興味のある方には、久津輪雅さん著『ゴッホの椅子』(誠文堂新光社)をぜひ!読みでのある一冊です)。

2016年時点では、この伝統工法で椅子づくりをするひとはマノロ・ロドリゲス・マルチネスさんおひとりになっていたのですが、生木の椅子づくりをかじっている者として、勉強に1脚欲しいと思っていたところ、西洋民芸を扱うお店グランピエさんで、マノロさんが現役最後に作ってくださったという子ども椅子を運よく購入することができました。

(グランピエさんは、1971年の創業当時から今に至るまで、このグアディスの民芸椅子を扱っておられます。子ども用サイズは2021年7月現在は品切れになってますが、マノロさんの後継者の方々の手になる大人用の大・中サイズは取り扱いがあります)。

ちなみに、かつてグアディスで行われていた手作業での椅子づくりの、短い記録映像が存在するのです。かなり豪快な作り方で、あれよあれよという間に椅子が出来上がっていく。。。!

作業の豪快さは、職人さんが熟達していることももちろんだけれど、この地方のポプラの木ならではなのかなとも思います。。地元にあるその木との長い関わりの中でこそ編み出された付き合い方というか。

△前脚・後ろ脚は芯持ちの枝から、座枠は半割りにした枝から削っているのがわかります。グリーンウッドワーク・ラボさんがシェアしてくださっている動画です。

△スペインのTV番組シリーズ「Raices(ルーツ)」の「LAS CUEVAS DE GUADIX(グアディスの洞窟住居)」編。11:19あたりから、椅子づくりの様子が写し出されます。若手の職人さんによる作業の様子。こちらでは組み上げるときにボンドを塗布しています。ラストには座編みの様子も。

■さて、やってみよう。。まずはパーツ削りから

マノロさんの子ども椅子を採寸し、パーツごとに必要な材のサイズを割り出します。

ホゾの長さや、ほぞ穴のサイズは、これまでにつくった生木の椅子を参考にしつつ、実験的に決めました。

パーツのうち、座枠と背板は、太めの枝を半割りにしてから削り。。貫はそのままでちょうどいい太さの枝の樹皮を削り取って使うことにした。(1本だけ、遊びで樹皮も残してみた)。

マノロさんの椅子は、四角いホゾを丸いドリル穴に入れる形だけれど、四角ホゾに不慣れなのと、丸ほぞのほうがしっかり組み上がるという噂をきいたので、丸ほぞを採用。

まず座枠と貫を3種の剪定枝から削って、乾燥させていきました。

後ろ脚は今回送ってもらった剪定枝では間に合わなかったので、手持ちのキンモクセイの幹を四つ割りにして作成。(先端に玉を付けるデザインは、昔フィンランドのサンタクロース一族から送られてきたお手紙に入っていた「忙しく準備をするサンタ一族の様子」の絵の中で、ちびサンタが座ってた椅子をモチーフにしました)。

前脚は、今回送ってもらった剪定枝の中からタラヨウの枝を芯持ちのまま使うことに。ただ、ポプラのように割れの入らないまま乾いてくれるかどうかは未知数。ものは試し、です。

初めて削ってみるタラヨウの枝は、樹皮の真下は薄緑、奥は白い肌。タラヨウは、葉っぱがそのままハガキになるくらいタンニンを多く含んでいる関係で、扱いがトリッキーでおもしろかった!

気持ちよく削れたのだけれど、乾燥過程で前脚の1本に割れが😿 同じ太さのタラヨウの枝はもうなかったので、仕方なく、手持ちのヤマザクラで代用。

■フレームの組み上げへ。。

パーツを削ってからひと月と少し経った頃、手回しドリルで穴を開けて組み上げていきました。

背もたれ付きの椅子は、穴あけの角度が複雑です。。計算が苦手な自分ですががんばって計算をして、後ろ脚は足元側を40㎜上げた状態で垂直にドリルで穴開け。そして背板・座枠・貫を挿し込みバックパネル化。

フロントパネルは普通に垂直にドリルしてフロントパネル化。

前後のパネルを合わせるための穴あけは、また角度が複雑です。なので真横にマノロさんの椅子を置いて、サイドの座枠・貫の角度を模す形でドリルしました(が、ちょっとずれた。。自由スコヤで角度を写し取って、もっとドリル刃に近いところにそれを置いてやればよかったです💦)。

ボンドは使わない方向を考えてましたが、一部のホゾが思ったより乾燥後スリムになったので、部分的に使いました。

木目に沿って削った後ろ脚には曲がりが出ていたので、少しバックパネルに不安定さが出ました。なので、一部のホゾ穴近くに木釘を打ちました。

△木釘はマイク・アボットさんのやり方を参考に、長方形のホゾを丸い穴に打ち込んで、ホゾの角を穴の縁に食い込ませる形にしたつもり。

最後に、ゆがみとがたつきの処理をして、脚を切りそろえ……前脚の頭を短めにカットして面取り。

組み上がったフレームは、なんというか、およよよ~~とおおらかに傾いた格好になりました。

それだけでも個性強すぎなのに、材がいろいろなので、部分によって色味も質感も違っていて、なんというか、愛嬌のある感じになりました。。

△組み上がり! 

パーツごとの樹種リスト

後脚:キンモクセイ

前脚(左):ヤマザクラ
前脚(右):タラヨウ(友人実家のお庭より)*曲がり材

座枠:ブットレア(友人実家のお庭より)

貫(後):クワ(友人実家のお庭より)
貫(前・左・右):ヒメコブシ(友人実家のお庭より)*左側は樹皮つき。

フレームのオイル塗装はどうしようか悩みましたが、マノロさん式に、とりあえず無塗装にしてみました。

■座面を編んで、できあがり

座面の素材としては、手元にあるものでと思っていたので、綿麻テープ、椅子座面用のペーパーコード、い草ロープの3択でした。

どれにしてもいいように、座枠の外側のカーブをなるべく抑えたデザインにしておいたのですが、使ってほしいなと思う(ま)ちゃんのことを思い描いて、結局赤いペーパーコードにしました。

編み方のパターンをどうしようーと悩みに悩み、結局マノロさんの椅子と同じ編み方を採用。初めて編むパターンで、すったもんだして大幅な編み直しもしましたが、それもいい勉強となって、なんとか編み上がりました!

結果的に、”ゴッホの椅子”とクリセットチェア(と部分的にはフィンランドのサンタ族の絵の椅子と、アリソン・オスピナさん風の樹皮付きグリーンウッドチェア)が合わさったみたいなデザインになりました。

なんとかできあがったことがうれしいです。

耐荷重の検証を一応したいのと(小さい子に使ってもらうには問題ないと思うのですが)、きっちり乾いてからお届けしたいので、(ま)ちゃんがこれに座れるくらいの年頃になるまで、今しばらく自分がちょいちょい座ってみて様子を見ようと思います。

■今回届いた剪定枝たちで、椅子以外につくってみたものは……

子ども椅子以外につくってみたものについては、noteのほうにまとめました。よかったら覗いてみてください😊

#椅子づくり #子ども椅子


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