日本エコツーリズムセンター編。読んでよかった本でした。特に印象に残ったのが、小学生に肥後守を持たせて、自分の鉛筆を自分で毎日削るようにしてもらっている小学校のお話と、何十年も前から子どもたちにナタやナイフを持たせてきたサバイバルキャンプのお話。

肥後守を全員に配っている小学校では、水場に砥石も用意してあって、子どもたちは刃物のメンテナンスも全部日常的に自分でやるんだそうです。いつ砥ぐかなどの判断もすべて自分で。そうやって小さい頃から日常的にナイフを使う。

サバイバルキャンプのほうは、その非日常なキャンプのあいだ、刃物を使うわけだけど、キャンプの終わりに、自分で使っていたナイフはプレゼントされて、それを日常に持ち帰るんだそう。

小さい頃からナイフを持たせて、使い方を教えるという北欧の国のことも少し触れられていました。最初に親が子どもにナイフを渡すときは、ナイフを鞘から出すときは必ず座る、など、いくつかの絶対的な約束を交わすんだそう。北欧の子どもにとって、初めてのナイフを手にすることは(”一人前の子ども“になったような?)誇らしい体験らしかった。

ナイフは危ないから持たせない、ではなくて、危ないものだというのをちゃんと踏まえて、ふさわしい扱い方を伝えてあげること。ふさわしい扱い方を知って刃物を扱えるようになることは、本人の自信と誇りになっていくはずだし、指先をよく使うことは創意工夫できる力が育つことにもなる、というのが伝わってきました。

サバイバルキャンプで刃物によるけがが劇的に減ることになったエピソードも興味深かったです。ある年から、ナイフの使い方を最初に説明するときに、デモンストレーションで紙をスーッと切ってみせたんだそうです。それだけで、切り傷がそれまでの1/5(だったかな?)に減ったそうです。

デモンストレーションで、使い方をゆっくりはっきりと見せる、ということも大切だろうな、と思いました。

モンテッソーリ教育でも、そこは大切にされていますね。。。言葉での説明以上に。そしてモンテッソーリ幼稚園では本物の針をつかって縫物などをやっていますね。子どもは、その子のそのときの興味に沿って、本人の体の大きさや力に合った条件・環境を用意してあげさえすれば、大人が思うよりもずっと集中してものごとに取り組めるし、自分で最初から最後までやり遂げることこそが本人にとってとても大きな喜びになる、ということを、忘れないでいたいなーと思います。